循環器の病気のはなし
① 狭心症
心臓は冠動脈という血管によって血液を供給され、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。狭心症は動脈硬化(動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして、動脈の本来の機能を果たせなくなった状態)や血管の痙攣によって狭くなり、血液を十分に心臓の筋肉が受け取ることできない病気です。胸の中央部の圧迫感や不快感、息切れなどが代表的な症状で、動脈硬化による狭心症は早く歩いたり階段を昇ったりした時によくみられますが、血管の痙攣で起きる狭心症は安静時に症状が出現します。治療は狭くなった血管の状態によって、内服治療、心臓カテーテル治療、心臓バイパス手術が選択されます。
② 心筋梗塞
冠動脈が血栓という血液の塊などによって詰まってしまったことにより心臓の筋肉が壊死してしまった状態です。一度壊死してしまうと、その筋肉は働けなくなってしまい、壊死の程度によっては危険な合併症の可能性もあるため、できるだけ早く詰まってしまった血管を再開通してあげることが重要です。心筋梗塞の症状は、狭心症の時の症状が短時間で改善せず持続します。
③ 不整脈
心臓は通常1分間に60回から90回ぐらいで規則正しいリズムで血液を送り出しています。そのリズムが不規則になったり、極端に早くなったり遅くなったりする病気が不整脈です。症状は動悸がしたり、脈の乱れ、息切れ、めまいなどを感じたりします。不整脈の種類により、早急に治療を必要とする場合と特に治療はせずに様子をみる場合があります。
不整脈の一つである心房細動は、心臓が不規則に収縮するため脈の乱れや動悸を感じたりします。心房細動は血の塊である血栓ができ、その血栓が脳の血管を詰まらせ脳梗塞を引き起こしてしまう危険があります。そのため薬を使用した血をかたまりにくくする治療が必要です。心房細動は加齢とともに頻度が増加するため近年患者数が増加しています。
④ 心不全
高血圧や狭心症・心筋梗塞・不整脈などの病気によって、心臓がポンプとして十分に働くことができなくなってしまった状態です。症状は、息苦しさや足のむくみなどがあります。治療は、心臓の負担を軽減する治療と原因となる病気に対する治療が必要です。
生活習慣病のはなし
生活習慣病とは食生活の乱れや運動不足・喫煙・ストレスなどの良くない生活習慣が発症や進行に関わっている病気のことです。生活習慣病の怖さは、単独でも動脈硬化(動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして、動脈の本来の機能を果たせなくなった状態)による脳卒中や狭心症・心筋梗塞など重篤な合併症の原因になりますが、重複するとその頻度がさらに高くなることです。
① 高血圧症
血圧が高くなる病気です。家庭での血圧が、収縮期血圧135mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上が高血圧と診断されます。高い血圧は、血管や心臓に負担をかけ合併症の原因となります。
② 脂質異常症(高脂血症)
血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪といった脂質が上昇したり、HDL(善玉)コレステロールが減少したりする病気です。自分で自覚する症状はほとんどありませんが、知らないうちに動脈硬化を進行させてしまいます。
③ 糖尿病
食事によって得られるブドウ糖は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンにより筋肉で活動エネルギーとして使用されたり、肝臓でエネルギーとして蓄えたりします。そのインスリンの分泌不足や、十分に作用しないことにより血液中のブドウ糖の値(血糖値)が上昇してしまう病気です。血糖値の高い状態が続くと、動脈硬化が進行し全身に様々な合併症が出てきます。
④ 肥満
体重指数であるBody Mass Index (体重Kg÷身長m÷身長m)が25以上を肥満といいます。肥満は糖尿病や脂質異常症・高血圧症などの原因となり、その結果動脈硬化による病気の可能性を高めることになります。
⑤ 高尿酸血症
血液中の尿酸値が上昇してしまう病気であり、痛風の原因となります。そのまま放置しておくと、尿路結石や腎障害・動脈硬化による病気の可能性を高めることになります。
禁煙外来
喫煙は単独で動脈硬化の原因になります。禁煙したいが禁煙ができない場合、イライラなどの離脱症状をひきおこすニコチン依存症という病気の可能性があります。当院ではチャンピックスという内服薬を使用した禁煙治療を行っています。
禁煙治療は平成18年から健康保険の適応となり、治療費の1割から3割の自己負担で治療ができます。診察によってニコチン依存症と診断された方のみ保険が適用されます。
病診連携
当院は、地域の皆様の「かかりつけ医」として患者様の健康状態や病状などを把握し日常的な健康管理を行います。より精密な検査や入院治療が必要な場合や患者様が希望された場合には下記の病診連携先病院に紹介し専門医と相談しながら治療をすすめていきます。